・抗体のディスプレイ法は大規模なライブラリのスクリーニングにとって必須の技術です。
・ファージ、リボソーム、酵母、大腸菌等のディスプレイ系が知られています。
・大腸菌ディスプレイはシンプルかつスピーディーな点が優れており、抗体の表面提示量が多いという特徴があります。
・MACS, FACSを用いて、効率的な陽性クローンの選抜が可能です。
・大腸菌へのディスプレイには、Lpp-OmpA, Autotransporter(AIDA-I, Intimin)等、様々な外膜タンパク質が利用されています。これらの外膜タンパク質に抗体断片を融合させ、大腸菌表面へ抗体をディスプレイします。バイオピークでは、IntiminをscFv抗体・VHH抗体・VNAR抗体の大腸菌表面ディスプレイに利用しています。
コンビネーションスクリーニング法は、抗体の大腸菌表面提示を利用したスクリーニング法(大腸菌ディスプレイ法)と抗体の大腸菌外分泌を利用したスクリーニング法(抗体ダイレクトクローニング法)を組み合わせた、バイオピーク独自のスクリーニング法です。ウサギ・アルパカ・サメなどへ抗原を免疫した免疫細胞から作製する、scFv・VHH・VNARなどの大規模な大腸菌発現抗体ライブラリから、大腸菌ディスプレイ法により目的抗体発現大腸菌(陽性クローン)を濃縮し、濃縮ライブラから抗体ダイレクトクローニング法により陽性クローンを同定します。コンビネーションスクリーニング法を用いることで、3日間という短期間に大規模なライブラリから陽性クローンを同定し目的抗体を樹立することが可能です。スクリーニング期間が大幅に短縮られたことで、低コストかつ短期間に新規抗体を得られることに加えて、大腸菌の増殖によるバイアスの低減によりユニークな抗体を多数得ることが可能になりました。
Intiminは腸管病原性大腸菌の持つ膜タンパク質であり、大腸菌ディスプレイにおいて、他の外膜タンパク質に比べて低毒性であり、優れた提示能力を示しています。Intimin β-BarrelのC末端に抗体を配置することで、scFv抗体・VHH抗体・VNAR抗体を大腸菌表面に提示します。大腸菌表面には104-5程度の抗体の発現が報告されており、この提示量はファージやリボソームにく比べると圧倒的に多く、陽性クローンの取りこぼしが無く、短時間にライブラリーを濃縮できます。
スクリーニング手順
1.外膜タンパク質 IntiminのC端に抗体(scFv、VHH、VNAR) を融合さ
せ、ライブラリーを作製
2.抗体を発現誘導した大腸菌、すなわち大腸菌の外膜表面にディスプレイ されている抗体とビオチン標識抗原を反応させる。
3.抗ビオチン抗体標識磁気ビーズと反応させる
4.磁性カラムを用いて、磁気ビーズと結合している大腸菌、すなわち、抗
原結合性のある抗体を発現している大腸菌を濃縮
5.磁気ビーズと結合しない大腸菌の除去
6.磁性カラムから磁気ビーズと結合と結合している大腸菌を溶出し、回収
ディスプレイ法には大きなライブラリを扱える最大の利点があり、存在確率の低いレアクローンの取得の可能性が向上します。しかし、ディスプレイ法のみで抗原と結合する抗体発現クローンを所得しようとする場合、多大な労力と長い時間を必要となる問題がありますし、クローンの同定は困難です。
例えば、109のライブラリーを105規模まで濃縮することは得意ですが、その後、個々の陽性クローンを同定するのは、繰り返しの作業に必要な労力と長い時間が必要です。さらに、繰り返しのパニングによりクローンに偏りが発生してしまう問題も知られています。バイオピークではこれらの問題を解決するため、抗体の提示系である大腸菌ディスプレイ法と抗体の分泌系である抗体ダイレクトクローニング法を組み合わせるスクリーニング法を開発しました。大腸菌でスプレイ法は繰り返し作業を行わないため短時間に大規模なライブラリーから陽性クローンを濃縮し、続いて行う抗体ダイレクトクローニングで濃縮した陽性クローンのクローニングと同定を3日間で行うことが可能になりました。